コンシリエンス学会研究会(2023年 1月22日() 13時~1430分: 15時まで延長可能性有

【テーマ】ネオ・サイバネティックス理論に基づく紛争の一般理論 

【報告者】加藤朗  

【司会者】伊藤隆太 

【申込】コンシリエンス学会研究会(講演者:加藤朗) | Peatix 

【要旨】

ネオ・サイバネティックスはサイバネティクス理論の第二世代にあたる。生物、機械、社会などすべてのシステムを情報から説明する点で両者は同じだが、前者は、システムを認識するヒトをシステムに包含する構成主義理論であり、他方後者はシステムを認識するヒトを外部に置き、システムの実在を前提とする客観主義理論である。

ネオ・サイバネティクス理論では紛争を一対の主体間の情報の相互作用と定義する。情報の相互作用は、相互に無拘束(対立)の状態である「状況」から、コード(法律、規則等)による相互拘束(協調)の「制度」の状態をへて、アルゴリズム(設計、プログラム等)による「組織」すなわちシステムを構築する。システムは、システムの内外で情報の相互作用を繰り返しながら、エントロピーの増大(デコード)により「状況」へと回帰する。紛争とは、この情報の相互作用の動的過程である。

本研究の目標は、ネオ・サイバネティックス理論に基づき、これまでの自然科学や社会学を、情報論的・システム論的に転回し、情報の相互作用の動的過程として統合することにある。 

関連する研究書:

加藤朗『国際紛争はなぜ起こるか――ネオ・サイバネティックス紛争理論の構築』(論創社、2022年)。 


【講演者略歴】

加藤朗(かとう あきら)


元桜美林大学教授 1951年5月生まれ

1981年3月早稲田大学大学院政治研究科国際政治修士修了

1981年4月~1996年3月 防衛庁防衛研究所所員

1996年4月~2022年3月 桜美林大学教員


著作

『日本の安全保障』(ちくま新書、2016年)

『兵器の歴史』(芙蓉書房出版、2008年)

『戦争の読みかた』(春風社、2008年)

『入門・リアリズム平和学』(勁草書房、2009年)

『テロ-現代暴力論』(中公新書 2002年)

『現代戦争論』(中公新書、1993年)他 

【司会者略歴】

伊藤隆太(いとう りゅうた)

広島大学大学院人間社会科学研究科助教、博士(法学)。

2009年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。同大学大学院法学研究科前期および後期博士課程修了。同大学大学院研究員および助教、日本国際問題研究所研究員を経て今に至る。戦略研究学会編集委員・書評小委員会副委員長・大会委員、国際安全保障学会総務委員、コンシリエンス学会学会長。政治学、国際関係論、進化学、歴史学、哲学、社会科学方法論など学際的研究に従事。主な研究業績には、“Hybrid balancing as classical realist statecraft: China's balancing behaviour in the Indo-Pacific,” International Affairs, Vol. 98, No. 6 (November 2022), pp. 1959–1975; 『進化政治学と国際政治理論――人間の心と戦争をめぐる新たな分析アプローチ(芙蓉書房出版、2020年);『進化政治学と戦争――自然科学と社会科学の統合に向けて』(芙蓉書房出版、2021年);『進化政治学と平和――科学と理性に基づいた繁栄』(芙蓉書房出版、2022年)がある。