なぜ進化論は全ての人文社会科学にとって不可欠なのか


コンシリエンス学会・シノドストークラウンジ共催


【報告者】蔵研也 /【司会者】伊藤隆太

研究会:コンシリエンス学会・シノドストークラウンジ共催 2021年 72120時~21時半)

【テーマ】なぜ進化論は全ての人文社会科学にとって不可欠なのか

【報告者】 蔵研也 /【司会者】伊藤隆太

【申込】https://peatix.com/event/1976007?lang=ja

【要旨】

現在、知識の世界に立つ壁が現在次々と取り除かれており、物質と精神、生物学と社会、人文学と自然科学といった区分が崩壊しつつあります。ダニエル・カーネマンらがノーベル経済学賞を受賞したとき、もはや経済学は人間の心理学的側面を無視できなくなり、科学哲学の発展は、科学的知識の妥当性を議論するために哲学の知識が必要なことを明らかにしました。一組の法則が全宇宙のあらゆる物体の運動を支配しているという、ニュートンの万有引力の法則が天界と地上の間の壁を破ったように、ダーウィンの進化論は自然淘汰という単一の枠組みで多くの学問分野を統合可能なことを示しました。


こうした生物学者E. O. ウィルソンがコンシリエンス――人文学と科学の統合――と名付けた動向のうち、とりわけ大きな影響力を持ったのは進化論の人文社会科学への応用――進化政治学、進化経済学、進化倫理学等――です。進化論が明らかにした人間観は、社会科学のみならず規範理論の研究にも重大なインプリケーションを持っており、ヒトという種にとって望ましい社会や政治のあり方についても貴重な示唆を与えてくれます。


そこで今回はコンシリエンス学会とシノドス・トークラウンジの共催の研究会という形で、岐阜聖徳学園大学経済情報学部の蔵研也先生をお招きして、コンシリエンスを究極的なテーマとしつつ、なぜ進化論が全ての人文社会科学にとって不可欠なのか、についてご講演いただきます。


【参考文献】

1.エドワード・O・ウィルソン『知の統合』角川書店 2002年

2.ジョシュア・グリーン 『モラル・トライブズ』 岩波書店 2015年

3.ジョナサン・ハイト 『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』紀伊國屋書店 2014年

4.スティーブン・ピンカー 『21世紀の啓蒙』草思社 2019年

5.ダニエル・カーネマン 『ファスト・アンド・スロー』早川書房 2014年

【講演者略歴】

蔵研也(くら・けんや)

1966年 富山県氷見市生まれ

1984年 富山県立高岡高校卒業

1988年 東京大学法学部卒業

1995年 カリフォルニア大学サンディエゴ校 経済学Ph.D.取得

1995年 名古屋商科大学商学部 専任講師

1997年 岐阜聖徳学園大学経済情報学部 准教授


著書など 『リバタリアン宣言』 朝日新書 2007年

   『無政府社会と法の進化』 木鐸社 2007年

   『18歳から考える経済と社会の見方』 春秋社 2017年

翻訳書 『通貨・銀行信用・経済循環』 春秋社 2015年

    『オーストリア学派』春秋社 2017年